世帯年収650万で4,500万円のローン、返済はきつい?

「世帯年収650万で4,500万円の住宅ローンを組んだ」という話をSNSで見かけることが増えました。金融機関の審査は通っても、手取りに対する毎月の返済がどれくらいの重さになるのか、借入額を抑えた場合と何が違うのかは、契約前にはイメージしにくいものです。

この記事では、世帯年収650万円の家庭が「4,800万円のマンションを頭金300万円・ローン4,500万円で買うケース」と「3,500万円のマンションを頭金500万円・ローン3,000万円に抑えるケース」を、Money Portalの不動産シミュレーターで比較します。あわせて、借入額を抑えて浮いた毎月の差額を積立投資に回した場合の30年後の試算も見ていきます。

この記事でわかること:

  • 世帯年収650万に対して、ローン4,500万円と3,000万円で毎月の返済負担がどう変わるか
  • 借入額を抑えると月のコストが約4.2万円軽くなること
  • その差額を全世界株の積立に回した場合、30年で悲観でも約2,700万円・中央値で約7,600万円になり得ること
  • 「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物だということ

前提条件

世帯年収650万円(額面)、手取りは月およそ42万円と仮定します。金利は変動型を想定した年1.0%、35年の元利均等返済で共通とします。

項目 ケースA(借りすぎ寄り) ケースB(抑えめ)
物件種別 マンション(RC造) マンション(RC造)
物件価格 4,800万円 3,500万円
頭金 300万円 500万円
ローン借入額 4,500万円 3,000万円
年収倍率(借入÷年収) 約6.9倍 約4.6倍
ローン金利 年1.0%(変動想定) 年1.0%(変動想定)
ローン期間 35年(元利均等) 35年(元利均等)
月次保有コスト 管理費1.2万円 / 修繕積立金1.0万円 / 保険0.2万円 / 固定資産税0.5万円 同左
住宅ローン控除 あり(13年間) あり(13年間)
物件価値変動率 年 -0.5%(ボラティリティ6%) 同左
売却想定年 15年後 15年後

シミュレーション結果

不動産シミュレーション結果(ケースA・4,800万円マンション)

月次コストの内訳

項目 ケースA(ローン4,500万円) ケースB(ローン3,000万円)
ローン返済(月次) 約12万7,000円 約8万5,000円
管理費・修繕積立金・保険・固定資産税 約3万4,000円 約3万4,000円
月次総コスト 約16万1,000円 約11万9,000円
手取り月42万円に対する総コスト比率 約38% 約28%
手取りに対するローン返済のみの比率 約30% 約20%

ケースAでは、住居費だけで手取りの4割近くが消えます。ここに食費・水道光熱費・通信費・教育費・保険が乗ると、貯蓄や投資に回す余力はかなり細くなります。ケースBなら住居費は手取りの3割弱で収まり、月に4万円前後の差が家計の自由度として残ります。

月次コストの差

ケースAとケースBの月次総コストの差は、約4万2,000円です。ローン返済額だけで見ても同じく約4万2,000円の差になります。年間では約50万円、15年で約760万円、35年の完済までなら累計で約1,500万円の差です。

15年後に売却した場合の手取り(ケースA・P50中央値)

物件価値が年0.5%ずつ下がる前提で15年後に売却すると、シミュレーターの試算は次のようになりました(モンテカルロ1,000パスの結果。実行ごとに多少変動します)。

シナリオ 売却価格 売却後の手取り(諸費用・残債・税引後)
悲観(P10) 約3,200万円 約320〜380万円
中央値(P50) 約4,300万円 約1,400〜1,500万円
楽観(P90) 約5,900万円 約2,800〜3,000万円

住宅ローン控除の累計恩恵は約338万円(13年間)。ケースBは借入額が小さいぶん控除累計も約225万円と少なくなりますが、そのぶん利息の支払総額も小さいため、控除の多さだけで借入額を増やす理由にはなりません。


借入を抑えて浮いた差額を積立投資に回すと

ケースBを選んで浮いた月4万2,000円を、全世界株式インデックス(eMAXIS Slim 全世界株式・オール・カントリー相当、為替込み)の積立に回した場合を、Money Portalの株式シミュレーターで試算します。過去実績ベースの実効年利は約11%、価格変動(ボラティリティ)は約19%です。

経過年数 元本 悲観(P10) 中央値(P50) 楽観(P90)
10年 約504万円 約507万円 約794万円 約1,321万円
20年 約1,008万円 約1,349万円 約2,842万円 約6,373万円
30年 約1,512万円 約2,730万円 約7,615万円 約2億2,241万円

過去実績が続く保証はなく、悲観シナリオでも元本を割らないという意味ではありません。それでも、借入額を年収の5倍以内に抑えることは「毎月の返済を軽くする」だけでなく、「浮いた分を長期で育てる余地を作る」という二重の効果があります。年収倍率7倍近くのローンは、この余地をほぼ使い切ってしまう借り方だと言えます。


「借りられる額」と「返せる額」は別物

金融機関の審査では、年収400万円以上なら返済負担率35%程度まで融資が下りることが多く、世帯年収650万円なら額面ベースで4,500万円前後の借入は「通る」ケースがあります。ただし審査で使われるのは額面年収と審査金利(実際の金利より高め)で、手取りや生活費、教育費の増加、金利上昇は十分に織り込まれていません。

無理のない借入額の目安として、次の3点を自分の数字で確認しておくと安全です。

  • 年収倍率は5倍以内に収まっているか(世帯年収650万円なら3,250万円前後)
  • 手取りに対するローン返済の比率が20〜25%以内か(総住居費で30%以内)
  • 変動金利が2%まで上がっても、返済額の増加を家計で吸収できるか

3つのうち1つでも大きく外れる場合は、頭金を増やす・物件価格を下げる・購入時期をずらすといった調整を検討する価値があります。


まとめ

  • 世帯年収650万円で4,500万円(年収倍率約6.9倍)を借りると、月次総コストは約16万1,000円で手取りの約38%を住居費が占める
  • 借入を3,000万円(年収倍率約4.6倍)に抑えると月次総コストは約11万9,000円、手取りの約28%に収まり、月4万2,000円の差が生まれる
  • この差額を全世界株の積立に回すと、30年で悲観約2,700万円・中央値約7,600万円(元本約1,512万円)という試算になる
  • 住宅ローン控除は借入額が大きいほど累計額は増えるが、利息負担も増えるため借入を増やす理由にはならない
  • 審査に通る額と無理なく返せる額は別物。年収倍率5倍以内・手取り返済比率25%以内・金利2%への耐性を自分の数字で確認する

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